豊島教会新聞 2019年1月号 主任司祭 巻頭言
第52回世界平和の日教皇メッセージ より
(2019年1月1日)
「よい政治は平和に寄与する」
主任司祭アシジの聖フランシスコ 田中 隆弘
「この家に平和があるように」
イエスは弟子たちを宣教へと派遣するにあたり、彼らに告げました。「どこかの家に入ったら、まず、『この家に平和があるように』
と言いなさい。平和の子がそこにいるなら、あなたがたの願う平和はそこにとどまる。 もし、いなければ、その平和はあなたがたに
戻ってくる」 (ルカ10・5-6)
平和をもたらすことは、キリストの弟子の使命の核心です。そしてその相手は、人類の歴史に刻まれた悲劇と暴力のただ中で、
平和を願い求めるすべての人です。 イエスのことばにある 「家」 とは、それぞれの個性と歴史をもつ各家庭、各共同体、各国、
各大陸であり、なによりもまず一人ひとりの人間です。 だれも分け隔てされたり、差別されたりすることはありません。
それはまた、わたしたちの 「共通の家」、すなわち神がわたしたちを住まわせてくださり、心を配って大切にするよう求めておられる
この地球でもあります。
したがって、新年を迎えるにあたり、わたしも祈りたいと思います。 「この家に平和があるように」。
被造物との平和。神のたまものの偉大さを再発見し、わたしたち一人ひとりは地球の住人、市民、未来の担い手として、責任を
共有していることを再認識してください。
人間の弱さを熟知し、それに対処できる平和な政治は、救い主の母、平和の元后であるマリアが、すべての人間の名のもとに
歌った賛歌 (マニフィカト) の心にいつでも立ち返ることができます。
「そのあわれみは代々に限りなく、主をおそれる者に及びます。 主はその腕で力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、権力あ
る者をその座から引き降ろし、身分の低い者を高く上げ、‥…あわれみをお忘れになりません、わたしたちの先祖におっしゃったと
おり、アブラハムとその子孫に対してとこしえに」 (ルカ1・50-55)
バチカンにて 2018年12月8日 フランシスコ