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豊島教会新聞 2019年4月号 主任司祭 巻頭言

 

                                「月の聖霊 」  

                    

                                      主任司祭 アシジの聖フランシスコ 田中隆弘 

 

 

  1969年7月20日、ニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面に着陸した。この月探検までの数か月間、アポロ11号の宇宙飛行士たちは、アメリカ西部にある環境が月に似た辺境の砂漠で訓練を受けた。その地域には、昔からいくつかのアメリカ先住民のコミュニテイがあった。そして、宇宙飛行士と先住民のこんな出会いの物語ーというよりは伝説ーが生まれた。

 ある日の訓練中、宇宙飛行士たちはアメリカ先住民の長老と出会った。老人は彼らに、ここで何をしているのか尋ねた。宇宙飛行士たちは、近々月探検の旅に出る探検隊だと答えた。それを聞いた老人はしばらく黙り込み、それから宇宙飛行士に向かって、お願いがあるのだが、と切り出した。「なんでしょう?」と彼らは訪ねた。「うん、私らの部族の者は月には聖霊が棲むと信じている。私らからの大切なメッセージを伝えてもらえないだろうか」と老人は言った。「どんなメッセージですか?」 老人は部族の言葉で何かを言い、宇宙飛行士たちが正確に暗記するまで何度も繰り返させた。 「どういう意味があるのですか?」 「ああ、それは言えないな。私らの部族と月の聖霊だけが許された秘密だから」 

 宇宙飛行士たちは基地に戻ると、その部族の言葉を話せる人を探しに探して、ついに見つけ出して、その秘密のメッセージを訳すように頼んだ。暗記していた言葉を復唱すると、訳を頼まれた者は腹を抱えて笑いだした。ようやく笑いが収まったとき、宇宙飛行士たちは、どういう意味なのかと尋ねた。彼によれば、宇宙飛行士たちが間違えないように苦心した暗記した一節の意味は次のようなものだった。 「この者たちの言うことは一言も信じてはいけません。あなた方の土地を盗むためにやって来たのです。」  『サピエンス全史 下巻』 ユヴァル・ノア・ハラリ著 P102より

 

 現在のわたしたちの世界は「自分中心主義」「自国中心主義」そして「人間中心主義」的傾向がますます強くなってきているように感じます。 そんななかで 天地万物 すべての被造物を創造し、それを「よし」とされた神さまを、その創造物を中心にした世界観を大切にしたいと思います。 四旬節のこの時に、共々に反省し、イエス・キリストの福音を真に生き、「すべての造られたものも ともにあなたをたたえて」(「叙唱年間週日六 創造主をたたえて」)歌うことができますように聖母マリアのとりつぎを願いましょう。