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豊島教会新聞 2019年9月号 主任司祭 巻頭言

                   『 そうすればあなたは、長く生きることが出来る 』

 

                          主任司祭 アシジのフランシスコ 田中隆弘

 

   「敬老の日」を前に思い出すのが、わたしが中学生の頃まで祖母が、そして大学生の頃まで祖父が健在で、それまでいっしょに住んでいました。 この祖父母からわたしはいま想うと 受けた影響はたいへん大きかったようです。

   一つの例をあげれば、祖母は畑で野菜を作っては近所の家にもってまわるのが好きでしたし、祖父は庭で大輪菊や東洋ランを育てていましたが、その祖父母が亡くなると、それは祖母が亡くなってからは母へ、また祖父が亡くなってからは父に受け継がれていきました。

   また、それは信仰面においても同様で、家の中の仏壇、神棚を大切にしていたことも受け継がれ、祖父母が毎日かかさず一時間ちかくお経を唱えていたことも 同じように母に受け継がれていきました。 わたしはそれを観て育った訳です。

 ところで、旧約のモーゼの律法には 「父と母を敬え。」 とありますが、この 「敬え」 とは 「老人の世話をしなさい。」 という意味もあり ますが、しかし、もともとの意味は 「敬う」 とは 「あるものを重く扱う、重視する」 という意味であって、旧約では預言者・祭司・王などにしか用いられない言葉だそうです。 つまり、この律法は 「神を地上において代表する親を敬え」 ということを言っているようです。

   新約のヤコブの手紙のなかで 「行いの伴わないあなたの信仰を見せなさい。そうすれば、わたしは行いによって、自分の信仰を見せましょう。」(ヤコブ2・18) とありますが、生活を通して、行いをもってわたしに神を伝えてくれた、またそのうえでの生き方を伝えてくれた祖父母、父母に、信仰上でも父母であった祖父母、父母に感謝したいものだと思っています。

 わたしたちがそれぞれの体験を通して受け継いだこの信仰を言葉だけで 「あなたはキリストです。」 と言うのではなく、行いをもってイエズス・キリストに従っていくことによって信仰を生き証し、それぞれが受け継いだ信仰を今度は子どもたちに伝えて行くことができればと想います。