豊島教会新聞 2020年10月号 主任司祭 巻頭言
「 中秋の名月は 姉妹なる月 」
主任司祭 アシジのフランシスコ 田中隆弘
ローマに 留学経験のある先輩の神父さんといっしょに留学中に親しくなったイタリア人の神父さんのファミリー一族のヴェネチア近くの小さな村の妹さん夫婦の家にホームステイしたことがありました。
わたしはそこで洗礼名である 「フランシスコ」 と呼ばれていました。ある時一家と街中で 「フランシスコ」 と呼ばれると、通りのフランシスコたちが自分が呼ばれたか?と思い振り向きました。 イタリアでは、フランシスコはいっぱいいる!と思った一瞬でした。
それは当然で、アシジの聖フランシスコはイタリアの守護聖人であり、同時に全ヨーロッパの保護聖人ですから名前にフランシスコが多数いるのは納得するところではないでしょうか。
わたしが洗礼名にアシジの聖フランシスコを選んだのは受洗勉強中にアシジの聖フランシスコ関連の本を数冊読み、その霊性・感性に深く共感したからでした。
特に自然への感性は他の聖人たちにはあまりない東洋思想・哲学に近いものを感じました。
その極みは聖フランシスコが死ぬ少し前に、肉体的苦痛と精神的苦悩の中にあるときに聖人の口から迸り(ほとばしり)出た賛歌といわれる 「太陽の賛歌」 です。
「 わが主よ、御身は賛美されますように、御身の造られたものすべてと共に、
とりわけ兄弟なる太陽によって。
太陽は昼であり 御身は太陽によって私たちを照らされる。
太陽は美しく、大いなる光彩を放って輝き、いと高き御方よ、御身の深き意味を知らせてくれる。
わが主よ、御身は賛美されますように、姉妹なる月と星々によって。
これらの姉妹を明るく、貴く、美しく形作られた。 」 (抜粋)
2020年10月1日は中秋の名月でした。司祭館の庭には秋の七草の一つ、萩の白い花が咲いています。中秋の名月は姉妹なる月でもあるのです。