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豊島教会新聞 2021年4月号 主任司祭 巻頭言

 

 『 大自然の風景を楽しむ 』        

 

                        主任司祭 アシジの聖フランシスコ  田中隆弘

 

祖父、父、叔父の3人から私は小さな頃から盆栽の楽しみを教えてもらって育ってきました。3人がそれぞれの盆栽そして鉢植えを庭に、合計するとたぶん100以上あったと思いますが、それを育て楽しんでいるような環境の中で、成長してきたわけです。この盆栽の世界の中で、自然を小宇宙に見立てて楽しみ、心を和ませる。そのような世界を教えてもらったことを感謝しています。

 

私たちが美しい自然や優れた芸術に接して、心が和む。日常の慌ただしさから免れて、なにか心リフレッシュされる。そのように感じるのはなぜでしょうか。ある哲学者は、私たちが生き生きとして生命を保つためには、整った固有のリズムというものが必要ではないか。その固有のリズムとは自然のリズム、あるいはそれに則った文化のリズムではないか。ですから、その美しい自然やその自然のリズムに則った文化や芸術に触れるときに、私たちは心が和み、そして心が癒される。乱れていた心が整ってくる。そのようなことがあるので、私たちは自然から優れた芸術から、心がリフレッシュする感覚を得るのではないかと、その哲学者は言っていました。たしかにそのとおりのような気がします。

 

私たちは美しい自然や優れた芸術作品、あるいは文化財 ー教会建築、聖堂も文化財のうちの一つなのだろうと思いますがー そこから私たちは、乱れた心を整えることができるのかもしれません。しかし、それを感じ取る心を失ってしまうようならば、せっかくのそれらのものも私たちの心を整えることはできない。ですからその感受性を喪失することは、たいへんな問題になるのだろうと思います。

 

そして、その感受性を失っていくとき、私たちが自然を美しいと思わなくなり、優れた芸術作品を見ても素晴らしいと思わなくなり、文化財を見ても感心することがなくなるときに、それこそが環境の破壊の原因になるのではないかと、その哲学者は語っていました。たしかに、そのとおりなのだろうと思います。