お知らせ

カトリック豊島教会 > お知らせ > 豊島教会新聞 2021年8月号 主任司祭 巻頭言

豊島教会新聞 2021年8月号 主任司祭 巻頭言

 

『 親だって怖いときがある 』        

 

                           主任司祭 アシジの聖フランシスコ  田中隆弘

 

 『わたしたちは、子どものために、強い親でありたいと願っています。子どもがいつでも頼れる存在でありたいと思うものです。けれども、ときには、わたしたち親も「オズの魔法使い」に出てくる臆病者のライオンのような気持ちになることがあります。そういう時には、虚勢を張らないようにするのが一番なのです。

 

人間なら誰でも、不安な気持ちになることがあるものです。大切なのは、その不安をどう表現するかです。親の正直な姿を見れば、子どもは、人間というものは不完全なものなのだ、時には人の支えや励ましが必要なのだということを学ぶようになるのです。…

 

 八歳のフォーブは、お母さんは今日病院へ行かなければならず、それで気が沈んでいるのだということを察していました。もちろん、大人ではないフォーブは、お母さんの病気がどれほど深刻なのかは、よくわかりません。でも、朝、学校へ行く前に、いつものようにフォーブを抱き寄せたお母さんを、ぎゅっと抱きしめ返したのはフォーブの方でした。お母さんはびっくりして言いました。 「ありがとう、フォーブ。心配してくれて」

 

 子どもは、不安にどう打ち勝ったらよいのかを、親から学びます。わたしたち親が、どんなふうに配偶者や友だちや親族に支えを求めているか、またどんなふうに人を支えているか。その姿から学ぶのです。不安な気持ちとどのように向き合い、どのような解決策を見出していくのか。子どもは、親の姿を手本とし、少しづつ学んでゆくのです。』

 

             『子どもが育つ魔法の言葉』 ドロシー・ロー・ノルト/レイチャル・ハリス (PHP研究所)

 

 コロナ禍のなかパトリック幼稚園では、今年も「お楽しみ運動会」を三つのグループに分けて三日間かけて行われる予定になっているようです。皆がコロナ禍の不安のなかでの解決策です。

 子どもたちはいま、「わたしたち親が、どんなふうに配偶者や友だちや親族に支えを求めているか、またどんなふうに人を支えているか。」 その姿を観、学んでいるのかもしれません。