豊島教会新聞 2022年4月号 主任司祭 巻頭言
『 わたしの愛にとどまりなさい 』
主任司祭 アシジの聖フランシスコ 田中隆弘
父がわたしを愛されたように、わたしも あなたがたを愛してきた。
わたしの愛にとどまりなさい。 わたしが父の掟を守り、その愛にとどまっているように、あなたがたも、わたしの掟を守るなら、わたしの愛にとどまることになる。(ヨハネ15・9-11)
わたしたちが、本当にイエズス・キリストの教えを信じ、その教えに従って生活しようと思うならば、わたしたちはイエズス・キリストが定めた生き方や暮らし方を学び、実践するようになるのだと思います。そして、そのイエズス・キリストが定めた生き方暮らし方の戒めとは 「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」 (ヨハネ13・34) という掟です。
しかし、ここで注意しておきたいことは、わたしたちがこの掟を学ぶのは、キリストを信じるキリスト者として正しい信仰生活をするためだけではありません。そうではなく、この掟を自分のものとすることによって、わたしたちは真の人間の尊さに目覚めて「本当の人間・神の子」 になることができるのです。
この掟はまた単なる掟ではなく、イエズスが命をかけて伝えようとしたイエズスそのものの生き方暮らし方、つまりイエズスそのものでもあるわけですから、この戒めを生きることはイエズスと出合うことができるのです。
すなわち、このイエズスの掟を守るもの保つものはそのことによって、そのかかわりによって、父なる神またキリストの愛、恵みのうちに、イエズスを観るのです。しかし、逆に言えばこの掟のうちに生きない者は父なる神、キリストの愛のうちにいることがわからずにイエズスが観えなくなり、さらに、その人はイエズスの弟子、信者ではないということになってくるのでしょう。
この 「イエズスの唯一の掟」にこの四旬節に共々に再び回心することができますように、聖母マリアのとりつぎを願いましょう。