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豊島教会新聞 2017年8月号 主任司祭 巻頭言

 

          8月6日 主の変容の主日 ー広島原爆投下の日にあたってー 

              

                       主任司祭  アシジの聖フランシスコ 田中 隆弘

 

   主の変容の主日のマタイ福音書の中で、弟子たちが 「主の変容」 を体験したことが語られています。

  彼らはイエズスの真の姿  「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」 という姿を垣間見ます。その声は

  雲の中から聞こえたと、「雲」 それは旧約聖書においては神のテントであり、乗り物であり、御足の塵でした。

  また、新約聖書においては啓示をもたらす天使の衣服であり、イエズス・キリストの父なる神のしるしなのです。 

   ところで、イエズスの真の姿が太陽のように輝いていたのと同様に、神の御前にあっては被造物であるわたしたちも真の姿

  はみな輝いているのではないでしょうか? 創造主である神によって、「よし」 とされた全被造物は本来、みな それぞれの美し

  さを持ち、輝いているのではないでしょうか? 

   しかし、人は悲しいことに、その真の姿を常に見ることが できずにいるのではないでしょうか?

  私心のある、自己中心的に堕ちいる時、人は他の人々の、またその他の被造物の真の姿、その輝き、美しさを見ないで、

  自分の利用する物としてしか 見えなくなってしまうのではないでしょうか? 

   そして、その私心、自己中心的なものの見方が過剰になる時、争いが起こり、本来自分のものでないものを奪い合う

  ことになり、それが延いては戦争になるのではないでしょうか? その争いは結局、自分自身を含めて真の美しさを失うこと

  に、死をもたらすものに なってしまうのではないでしょうか?  

      『戦争は人間の仕業です。戦争は人間の生命の破壊です。戦争は死です。』 (1981・2・24広島平和記念公園)

       と教皇ヨハネ・パウロ二世は日本に来た時に 語りました。 

   広島で、そして長崎で爆発した原子爆弾は、その 「黒雲」 は人類が創り出したものです。 しかも、残念ながら、人類はそ

  れを創りつづけているのです。 神の 「雲の柱」 は旧約時代、奴隷状態にあった民をエジプトから脱出させ、約束の地に導い

  てくれました。 しかし、人類が創造した 「黒雲の柱」 は何をわたしたちに もたらしたのでしょうか? 

 この日にあたって、そのような反省をすると共に 真の姿のお互いを拝み合う日が来ますように聖母マリアのとりつぎを願いましょう。