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豊島教会新聞 2023年6月号 主任司祭 巻頭言

 

巻頭言           

『  6月はみ心の月 』  

主任司祭 使徒ヨハネ 田中 昇

   

 聖母月を終えた私たちは6月に入り 「イエスのみ心」 の月を迎えました。キリストの聖体の祝日の次の金曜日に祝われるようになったこの信心業の直接的な起源は17世紀後半に活動した修道女マルガリタ・マリア・アラコックが受けたインスピレーション(キリストの出現の体験)にあると言われています。

 その際イエスは、「この心を見なさい。これは人間を非常に愛しその愛を示すために涸れ果てるまで何一つ惜しまなかったものなのに、多くの人々から、その報いに特に聖体の秘跡において忘恩、不敬さらには冒瀆、冷淡、無関心しか受けていません。最も辛いのは私に献身した人々でさえも、そうした態度を取っていることです」 と語ったと伝えられています。

 これが初金の信心業の原点とされています。イエスのみ心への信心そのものは17世紀の出来事だけでなく更に古い時代からあったものと思われます。歴史を通して、教会が福音のメッセージから外れ、信仰生活の規範として権威主義や制度主義、慣習などを重視してしまった時期に、聖霊は後世に名を留めるような聖人達が現れ、その度に教会を本来の歩みへと立ち帰らせてくれました。今、世俗化した文化の真っ只中にある私たちも、常にこのイエスのみ心をしっかりと見つめ私たちの中心に据えていく必要があるでしょう。禁教下、200年以上も信仰を守り抜いた長崎の信者たちが初めて宣教師に出会った際に告白した言葉を私たちのものとしたいものです。「我らのムネ、あなたのムネとおなじ」。